姫路靼再現プロジェクトの記録

第31歩 再始動! 原皮の川漬けだ!!

2011.11.1

 全国の姫路靼ひめじたんファンのみなさま、こんにちは。帰ってきました、姫路靼ブログ。また、しばらくのあいだ、お付き合いのほどを。

 検索してこのページにたどり着いた初めての方も、どうぞよろしく。本ブログは、姫路靼(白なめし革)再現プロジェクトの様子を記録したもので、今回が第2弾の初日。姫路靼(白なめし革)って、どういう革? 再現プロジェクトって? このあたりは「再現の道season1夏秋編」第1歩に目を通してもらえれると、理解が早い。また第3歩にはこの物語の登場人物4人を簡単に紹介しているので、あわせて参照してほしい。

 8月から10月にかけて実施した1回目の夏秋編。あらためて総括すれば、そこそこの成功だったといえるが、上手くいかなかった部分も多い。完成した革にシミや斑点ができていたり、キズもあり、再チャレンジすることにした。とはいえ2回目だからといって、きれいに仕上がる保証はない。それでも姫路靼づくりの奥深さを知り、姫路靼に取り憑かれた(!?)4人が、懲りずに挑む。はたしてどんな革ができあがるのか。完成予定は来年1月。

 というわけで本日、11月1日、第2弾の初日をむかえた。この日を選んだのは「11月上旬から始めるのがベストですわ」という林さんの意見による。じつはメンバーそれぞれ本業の仕事をかかえてのプロジェクトだから、もっと遅く始めたいものもいた。ついこのあいだ10月21日に第1弾を終えたばかりなので、今日まで中1週間しか明いていない。もう少し余裕がほしいと思うのも当然である。それでも、第1段の失敗部分をふまえれば、このスケジュールしかなかった。革にシミや斑点ができたのは、夏の暑さでその部分が腐ったからだ。自然を相手にする姫路靼づくりは気候が重要なポイント。暑いと原皮が腐りやすい。寒いと作業工程の進みが遅くなり、きれいな仕上がりを見通せない。第1段を経験してわかったのは、夏の革づくりはむずかしいこと。そして良い革をつくるには、良い季節を選んで始めること。11月上旬スタートがベストなら、それしかない。一同、納得のうえ、始めることとなったのだ。

 また、作業工程についても基本は1回目と同じだが、反省点をふまえ、改善できる作業は改善していきたい。

 さっそく原皮の川漬けにはいる。今回は原皮を4枚用意した。3枚は姫路靼にする赤毛のメス牛で、1枚は板目皮にするブル(オスの種牛)。板目皮いためがわは、第10話のとおり、比較的早く完成する皮だ。

 午前9時半、高木橋から南へ60メートルぐらいの川原に陣取った。第1段が約700メートルだったのに比べ相当上流に位置したのは、9月の台風12号で川原の様子が変わったためだ。

 川岸で、原皮2枚を連結させた。1枚目の尻と2枚目の頭をロープでつないだ原皮2枚を、9時50分、4人でずるずる引っ張って川に入れた。

 前回、このあたりの作業はもう少し時間がかかったけれど、慣れたものだ。テンポ良く作業が進む。

 川のなかの土台の石に、ロープを結びつけて皮を固定。続けて、3枚目の原皮を川に入れ、2枚目の尻とロープでつないだ。さらに4枚目も入れた。

「橋の上から見たら、あいつら何やってるかと思うやろな」と、土台の石を運びながら大崎さんが笑った。高木橋に目を向けると、自転車を止めてプロジェクトの様子をながめるひとがいた。昔はありふれた風景だったろうが、いまは違う。奇特なひとたちだとあきれているのだろうか。その通りだ、メンバーは少々変わっている。そうじゃなければ、あの大変さをわかっていて、2回目をやるはずがない。

 皮は土台の石に結んだだけでは流される不安があるので、命綱のロープをテトラポットにくくりつけた。テトラポットは、先日の台風で上流から漂着してきたもののようで、このテトラポットがあるから、川漬け場所をここにしたといえる。

 原皮4枚が数珠つなぎになって、川のなかをひらひら流れる光景はとてもきれいだ。このまま1週間から10日ほど泳がせる。石のコケが、皮に付いて、毛根がほどよく腐るはずだ。

 進行管理のため原皮にID番号をつけておいた。川漬けの上流からNo1、No2、No3、No4。No1からNo3までが姫路靼用。No4が板目皮用だ。


11月1日(火) 晴れ 川の水温16.5度 気温22度