第1歩 姫路靼再現プロジェクト始めます
2011.8.18
家電もクルマも衣料品も文房具も、昔とは違って、ずいぶん良くなりました。技術の進歩ですね。それは、革の世界もまったく同じです。以前に比べ、革の品質は上がり、製品を安定的につくれるようになりました。協伸が革素材の開発に取り組めるようになったのも、技術の進歩のおかげといえましょう。
それならば、どうなんでしょうか、昔の技術って? 時代遅れで、全部イマイチなのか? というと、必ずしもそうじゃないと思っています。特に革の製造はオートメーションではありません。手作業の部分が多く残っています。だから、いにしえの革づくりには、現代にも生かせるヒントがあるのではと、ずっと考えていました。
姫路靼を、知っていますか?
このページに、たどり着いた方ならご存じかもしれませんが、日本古来の製造法でつくった革のこと。白くて柔らかいのに強い革。白なめし革と呼ばれることも多く、協伸が拠点とする姫路では、かつてとても多く生産されていました。江戸時代には、姫路藩の特産物として藩の財政を支えたそうです。明治時代には、欧米の万国博覧会に何度も出品され、賞も取りました。こうした革づくりの流れを受け継いでいるからこそ現在、兵庫県の成牛革生産は全国で約6割のシェアを占めるわけです。ちなみに協伸の初代・金田盛易が明治時代に、最初に手がけたのもやはり、姫路靼でした。そうやって、一世を風靡した姫路靼。しかし、いつのまにか新しい製法・技術に押され、廃れてしまいました。現在は、細々と続けるひとがひとりいるだけというのが実情です。
姫路靼は、協伸にとって原点ともいえる革です。いつも頭の片隅に残り、気になっていました。そこで今回、姫路靼を自分たちの手で再現するプロジェクトを始めることにしました。古来の革づくりを再現する過程で、なにか見つけられればと思います。昔の職人技を科学的に数値化し、なにか学べればといいなあと。
姫路靼再現プロジェクトは、姫路靼を長年研究している林久良さんと、当社代表の金田陽司が中心になって進めます。このふたりの出会いによってプロジェクトは誕生しました。
来週から始めて、2~3か月ぐらいはかかる予定です。
はたして成功するのか。挫折するのか。いにしえの技を科学的に解明できるのか。これからの作業を、このブログで記録していきます。