第101歩 真冬の川漬け。姫路靼に3度目の挑戦!!
2011.12.28
急きょ、3回目に挑むことにした。姫路靼再現プロジェクト第3弾のスタートだ。トライ、トライ、トライ。
ん? ずいぶん威勢のいい書き出しだが、2回目の秋冬編は、どうなった? 第51歩では、天日干しと寝かし作業を進めていると書いていたのでは・・・・・・。
たしかに、現在第2弾は進行中ではある。しかし、実際のところ皮の状態は良好とは言えず、だまし、だまし、ごまかし、ごまかし、作業を続けているといっていいだろう。
0.5ミリ厚の半裁BとCには、銀層がない。原因をいろいろ探ったが、シェービング時の失敗だった。シェービング屋さんが表裏を間違えて漉いて、銀層を削ってしまったようだ。このまま最後まで仕上げてもスエードにしかならないし、穴も空いている。
1.0ミリ厚の半裁AとDは順調そうに思えたが、そうではなかった。第51歩の天日干し前に、じっくり皮を観察すると、銀面に切り傷がたくさんあることに気付いた。脱毛時、せん包丁でキズを付けてしまったようだ。新調したせん包丁は切れ味鋭く、それがアダとなった。キズは修復できない。さらに、部分的に腐敗してできたシミが、この段階で目立つようになってきた。最後まで仕上げても、よい品質の革にはならない。
もっと以前を振り返れば、スタートの川漬け段階でNo3とNo4の丸皮を腐らせている。
秋冬編は2回目の挑戦だし、季節もいいから、もう少しうまくいくだろうと漠然と期待していた。が実際は、甘くはなかった。第2弾の中間総括としていえるのは、第1段より状況が悪いということ。原因はいろいろあるが、成功にはかなり遠い。
幸い、第2弾の皮は現在干している最中なので、それほど労力をかける作業ではない。それならば、干しているあいだに第3弾を始めればいいじゃないか。というわけで、再々チャレンジすることになった。今度こそ、いい革をつくりたい。目指すは、しみやキズのないきれいで白い姫路靼(白なめし革)だ。トライ。トライ。トライ。
第3弾を始めるにあたり、12月26日、メンバーが集まり、これまでの問題点を洗い出した。原皮を川にどのように漬ければいいか。そして引き上げるタイミングは? さらにせん包丁の扱い方。味取りの加減・・・・・・。第1弾、第2弾の経験を生かして、なるべく失敗の可能性が低いやり方を探って進めたい。いくら、姫路靼に関心を寄せるメンバーといっても、何度も何度もプロジェクトは繰り返せない。本業のあいまを縫って参加しているのだ
果たして、三度目の正直なりの立派な姫路靼が仕上がるか。まだまだ修行が足りないと、革の神様に跳ね返されるか。
12月28日、晴れ。午前9時。赤毛の原皮2枚を持って、川原に向かった。気温は1度。水温も1度。ゴム長靴を通して、水の冷たさが伝わってくる。服の袖が濡れないよう、袖をまくっているので、夏の映像のようにも見えるが、そうではない。真冬の川は、本当に冷たい。
皮を漬ける場所をじっくりと探した。夏とは川の状態が異なるし、先日の台風で流れも変わっている。深すぎず、流れが急すぎない場所。いろいろ検討して、今回は高木橋から20~30メートルに陣取った。
原皮に穴を開け、ロープをくくり付け、さらに2枚の原皮を連結させた。このあたりの作業は3回目にもなれば慣れている。
10時、連結した原皮を引きずって川に入れた。あとは、川のなかに積み上げておいた石の土台に、ロープを結びつけ固定するだけだが、この作業は慎重におこなった。原皮が水面近くまで浮いてもいけないし、川底まで沈んでもいけない。水面から10センチ、川底から30センチあたりの水深で、皮がひらひらと流れるのが理想だ。
11時40分に作業終了。高木橋から望むと、赤毛の丸皮が水中をきれいに泳いでいた。このまま年明けまで川に漬けておく。
工場に戻って、次の作業の準備をした。今回は川漬けのあと、第1弾と同様にポリタンク漬けをおこなう。第2弾では、川漬けだけで、毛根をほどほどに腐敗させようとしたが、行き過ぎてしまい、皮が腐ってしまった。同じ失敗は避けたいので、大事を取って、皮がまだ固い段階で引き上げて、ポリタンクに漬け、ゆっくりと腐敗を進行させることにした。
ポリタンク漬けの準備として、ポリタンクに、水80リットル、塩8リットル、米ぬか14リットルを入れてかき混ぜた。塩分濃度は10ボメだ。川から引き上げた後は、このポリタンクに漬ける。
12月28日(水) 晴れ 気温1度 水温1度