第33歩 念入りに塩をもみ込む
2011.11.8
「塩入れしたら、ぬた取りできないという説もあるけど、ちゃんとできるね。天日干しのあとはもう無理だけど」。林さんがぬた取り包丁を滑らせながら、そう話した。
本日は、No1、No2のぬた取りから始めた。このあと川原で干すので、ぬた取り最後のタイミング。昨日、取り切れなかった微妙な毛を取り去った。
「皮にまだ塩が入ってないなあ」。皮を手に取る金田の顔が曇った。昨日の塩だけでは足りないという。きちんと塩が入っていれば、もっと皮が固くなるそうだ。昨日、過去の文献にしたがい、秋の革づくりに必要な量をもみ込んだつもりだったが、不十分。もう少し塩を加えることにした。
丸皮1枚につき2.5キロの塩を手ですり込んだ。手でもんでいるうちに、水分が浮かんできたから、やはり足りなかったようだ。タイコに入れて、じっくり浸透させた。
15分後、タイコから取り出した丸皮を背中から半分に裁断した。No1からできた2枚の皮は、それぞれ半裁A、半裁BとIDを付け、No2の原皮からは半裁C、半裁Dとし、進行状況を管理していく。
背割りした切り口をみると、皮の断面が3層になっていた。「ハイチュウみたい(笑)」と小松尾さん。断面の上下は塩が入り白いけれど、中央は薄い茶色だ。芯が残っている。どうやら塩がまだ入りきっていない。
これでは天日干し作業には移れないので、もういちど塩を入れることにした。タイコに半裁A、B、C、DとNo3の皮を入れ、10キロの塩をかけて、15分まわした。そのあと、午後1時から明朝9時まで4時間おきに2分まわすことにした。合計5回10分まわすことになる。なお完成を諦めたNo3も、とりあえず腐敗防止のため一緒にまわしておいた。
塩を入れるのも一苦労だ。いちど経験したから、少しわかったつもりになっていたが、なかなか思い通りにはいかず、あいかわらず手探り状態だ。シーズン1夏秋編の際、塩入れで苦労しなかったのはポリタンク漬け工程があったからだろう。あの段階で何日も塩に漬かっていたのが効果的だったにちがいない。
皮の進行状況【姫路靼(白なめし革)用】
半裁A、B、C、D→タイコで塩もみ中
【板目皮用】
No4(フレッシング済み)→川漬け続行
11月8日(火) 晴れ 川の水温16度 気温21度 室内15度