姫路靼再現プロジェクトの記録

第34歩 天日干し1

2011.11.9

 さて、塩は入ったか。皮をタイコから取り出して確認した。昨日よりマシだが、微妙に芯が残り、ハイチュウ状態は変わらない。芯がなくなるまで塩入れしたほうがいいかもしれないが、やめた。「残った芯は、このあとの裏き工程で削り取って、なくなってしまう。最終的に必要なのは銀面から1ミリ程度の厚さで、そこまでは十分に塩が入っている。大丈夫でしょう」という金田の言葉で、天日干しに行くことにした。

 川原の石は、夏に比べ冷たい。乾燥するまでかなり日にちがかかりそうだ。9時半に裏面を上にして干し始め、14時に裏返し、15時半に取り込んだ。干しながら気になったのは、半裁CとDにある黒いシミ。それでもNo3に比べれば、たいしたことはない。

板目皮いためがわ用の原皮No4も残念な結果に

 天日干しのあいまを縫って、No4の原皮を引き上げた。脱毛したら、腐った地肌が現れた。銀面の8割以上が変色し、銀面も床面もところどころ、クレーターのようにデコボコしている。せん包丁をかける気力も鈍ってしまう。No3より状態が悪かった。

 川に漬けすぎたようだ。でも、2日前だと脱毛できる状態ではなかった。川からいつ引き上げればよいか、タイミングをはかるのが本当に難しい。タイミングの他に腐った要因を考えればやはり、No3の原皮と同様、塩を抜いて、フレッシングをかけた皮だったことがひとつ。さらに林さんは「川漬けの状態がよくなかったですわ。2日前見たとき、皮がほぼ川底に着いとったからね」と付け加えた。水の流れが悪く、よどんでいたそうだ。

 原皮の川漬けは、とても重要で繊細な工程だ。漬けっぱなしにせず、毎日見に行く必要があったかもしれない。コントロールができるポリタンク漬けと異なり、自然の川を相手にしているのだ。

 丸皮を4枚漬けたが、生き残ったのは2枚となった。


革づくりの進行状況
【姫路靼(白なめし革)用】半裁A、B、C、Dの天日干し
9:30 スタート
14:00 裏返し
15:30 撤収

【板目皮用】 No4
脱毛→断念

11月9日(水) 晴れのち曇り 川の水温15度 気温19度