姫路靼再現プロジェクトの記録

第47歩 天日で干して、ヘラをかけたら・・・

2011.12.13

 9時から川原で半裁BとCを干した。皮を広げる前に、朝露に濡れた石を動かしておいた。

 この2枚の色を見て林さんは、かなり白いと驚いた。「この白さは、仕上がり直前と同じ色や。まだ始めたばかりなのに、5工程ぐらい飛ばした感じがする」。薄い皮特有の変化なのだろうか。0.5ミリの皮は、厚い皮と扱い方が違えば、皮の状態も異なってくるようだ。1時間弱干して、取り込んだ。

 このあと2枚は、何日間か、足もみとヘラがけを繰り返していく。

 足もみは、いつものように、壁に向かって、さばり木をつかみ、足を動かした。10分ほど軽くもんだあと、ヘラがけに移った。夏秋編で使用したヘラの再登場だ。

「あっ!」。工場内に叫び声が響いた。皮が破れた。皮からヘラが突き出て、10センチほどの裂け目ができてしまった。力をかけすぎたのだ。

 0.5ミリ厚の皮は、厚い皮より慎重にヘラをかけないといけないが、力が弱すぎるとヘラがかかったことにならない。力加減が非常に難しい。

「水分が多かったんやね」と林さん。水気が多いため、皮の強度が落ちていたのだろう。夏秋編の1.2ミリ厚や1.5ミリ厚と同じぐらいまで乾燥させたが、0.5ミリ厚はその湿り具合ではダメだった。もっと乾かす必要があった。

 薄い皮は力が要らない分、作業がいろいろ楽になるけれど、そのいっぽうで、ひとつひとつの作業に繊細が求められる。厚い皮とは別物と考えて進めたほうがよいようだ。姫路靼づくりは難しい。あらためて実感する。

 気を取り直して、皮をもう少し乾燥させることにした。軽く天日で干し、そのあとは、工場内に吊した。急いではいけない。明日まで待とう。

 合間に、半裁Dも軽く足もみをおこなった。


12月13日(火) 晴れ  気温6度 室内8度

足もみ、ヘラがけ、天日干しの半裁別作業記録

・表中のグレー部分は、本日実施した作業
・作業時間左の小さい数字は、第何歩を表す

半 裁 I D A B C D
丸皮時の番号 No1 No1 No2 No2
油入れ前の重さ 2800g 2050g 2150g 3050g
厚さ 1.0mm 0.5mm 0.5mm 1.0mm
油入れ前の
天日干し合計
9日間=
50時間5分
7日間=
36時間45分
7日間=
36時間45分
9日間=
50時間5分
1 足もみ 42 50分 44 35分 44 30分 42 1時間5分
2 足もみ 43 2時間 43 2時間
3 天日干し 45 床23分
銀12分
45 銀23分
床12分
45 床23分
銀12分
45 床23分
銀12分
4 足もみ 45 20分 45 15分 47 20分
5 洗い皮 50 裏表 46 裏表 46 裏表 50 表のみ
6 天日干し 50 6時間 46 5時間 46 5時間 50 6時間
7 天日干し 47 50分 47 50分
8 足もみ 47 20分
9 ヘラがけ 47 20分
10 天日干し 47 20分
11 室内干し 47 翌日まで 47 翌日まで